ガチなIaaSでマイグレーション

去る11月28日、NHNテコラスのカフェテリアにて日本MSP協会(以後MSPJ)主催のマイグレーションコンペティション2015fall (以後マイコン)が開催されました。このコンペティションは出場資格が30才以下に限定されたコンペティションで、MSPJが若手エンジニアの育成のために企画したイベントです。自分はNHNテコラスの社員であると同時にこのMSPJの事務局長を務めておりまして、今回はMSPJというお帽子でブログエントリーさせていただきます。

実は当初30才未満だったのですが、connpassで告知する際に「30才以下」と記載してしまいましたので、そのまま30才でも出場OKにしました。まぁ、ここでは30才も若手ということにしておきましょう(笑

コンペティションの運営はMSPJの実行委員であり、MSPJコンペティション分科会のメンバーであるハートビーツの馬場さん、NHNテコラスの大久保さん、さくらインターネットの須藤さんが担当しています。コンペティションの舞台になるサーバやクラウド基盤はさくらインターネットさんにご提供いただきました。あざーす!

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左から須藤さん、大久保さん、馬場さん

コンペティション実行委員長である馬場さんの開会宣言の後、さっそくルール説明が開始されます。問題の内容は馬場さんのブログエントリをご参照ください。

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ISUCONトラコンといった、この手のチーム戦によるコンペティションやコンテストは割りとチーム単位で応募する形式が多いですが、このマイコンは個人参加形式であり、チーム編成は当日コンペティション会場にて行われます。つまり参加者はその場で決定する即席チームによって戦わなければなりません。したがって事前にチームメンバ間で作戦を練ったり、役割分担をしていたり、作戦にあわせてそれぞれツール等を用意して最初っから作業を分担するといった準備ができません。DSC08648

その場でチーム分け

このコンペティションでは単に技術力やプログラミング力だけではなく、チームワーキング力が試されます。つまりエンジニアのコミュ力だったり調整力だったりマネージメント力だったり。実際、このコンペティションの参加に興味があっても個人登録だということで参加をあきらめたエンジニアもいたと聞いています。我々運営側も午前中いっぱいはチームワーキングに始終するのではないかと予想してはいましたが、意外にも個人で参加応募してくる強者共は対人コミュニケーションなどに怯む事なく、のっけからバリバリ相談し、役割分担を決め、ガツガツ作業を進めていったようです。

さすがです。

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午後3時にはCaffice ESS店様よりコーヒーのサービスがありました。休日にも関わらず朝9時から懇親会終了までお付き合い頂き、ありがとうございます!

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まるで天使やぁ~!

コンペティションは17時に終了し、その後参加者は懇親会へと、運営は採点へと向かいます。懇親会では寿司とピザ、そして飲みきれないほどのビール、酎杯、ハイボール、ソフトドリンクが用意されました。皆さん疲れ果てているはずですが、和気藹々と情報交換をしています。

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そして懇親会の途中で優勝、準優勝チームの発表がありました。

結果ですが、優勝は原さん(日本ユニシス)、榎本さん(CyberAgent)、中西さん(電通大)のチームが獲得しました。

また準優勝は大西さん(スカイアーチネットワークス)、星野さん(スカイアーチネットワークス)、小林さん(エクストランス)のチームです。皆さんおめでとうございます!

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コンペティションのお題は先に紹介した馬場さんのエントリをご参照していただくとして、簡単に言うとオンプレで動いている古いwordpressサーバをさくらのクラウドへ移設してくださいという内容です。その場合、サービスを止めずに、冗長化したり、チューニングしたり、プロビジョニングコードを作ったり、ドキュメントがあったらうれしいなぁ~という漠然とした要求が付随します。

テストや試験のように答えがあるという問題ではないので、この顧客は何を望んでいるのか?どこまでやればいいのか?という基準を参加者側で判断する必要があります。実際の業務ではよくありますね、こういうシチュエーション。そして色々やるのはめんどくさいので最低限の要求を満たす作業を完了して提出するとダメだしを食らってやりなおししたりして。

そのあたり、どこまでやるのかというさじ加減を調整したり、ある部分は諦めて、他の部分のクオリティアップに注力するとか、優先順位を早めに決定して方針を明らかにする事が必要だったようです。

また、会場の様子を見ていると、どのチームもさくらのクラウドのロードバランサの実装に苦労していました。さくらのクラウドのロードバランシングはDSR(Direct Server Return)が原則なので、DSRを知らない人だと構成を理解するのに時間がかかったことでしょう。さくらクラウドのロードバランシングはこちらにマニュアルがあるので、これを見つけたチームは割りと苦労しなかったと思います。

コンペティション後のアンケートにもありましたが、普段AWS、GCP、Azureなど、PaaSよりのクラウドサービスを使っていると、こういったシステムコンポーネントがむき出しになっている基盤に戸惑うようですね。

さくらのクラウドは「漢のクラウド」って感じです。カワサキか。

最近ではGAE(今だとGCPか)に代表されるサーバレスアーキテクチュアのようにシステムコンポーネントが完全に隠蔽された環境が増えてきていますが、それに慣れすぎてしまうと、サーバやネットワークコンポーネントの配置やリンケージがイメージできず、今回のようなむき出しのシステム構成を把握するのに時間がかかってしまったのかもしれません。サーバレスアーキテクチュアはコードさえ書ければそれ以外の余計な事(インフラ構成とか)を考えなくてもサービスを立ち上げる事ができるので便利ですが、あまり物理コンポーネントから離れすぎてしまうのも考え物ですね。

人は、土から離れては生きられないのよ!  (C)シータ

逆に、サーバコンポーネントやネットワークリンケージがむき出しになっていることで、インフラエンジニアとしての本能を呼び覚まし、楽しんでくれた参加者もいたようです。サーバレスアーキテクチュアは便利といえば便利ですが、サービスにロックインされるだけではなく、エンジニアの技術さえもロックインされるので結構程度問題なのかもしれません。

アンケートによると「Q. 次回も参加したいか?」という設問に今回参加者ではほぼ全員が参加したいと言っていただいたので次回も開催しようと思います。

懇親会でもAWSからNiftyクラウドへとか、AWSからAzureへとか、AWSからGMOクラウドへ、もしくはそれらの逆向きへのマイグレーションとか面白いよね、みたいな話も出ていました。移行先クラウド基盤の事業者さんにとっては若手エンジニアに自社サービスの機能、構造や癖なんかを理解してもらう良いチャンスになるのではないでしょうか?

MSPJコンペティション分科会ではマイグレーション先のクラウド基盤をご提供いただける企業様を募集しておりますので、ご興味がありましたらこちら までご連絡ください。

また、今回の出場資格に年齢制限がある事に不満を抱いた方々もいらっしゃるかもしれません。日本MSP協会の活動としては若手エンジニアの育成に注力する事になっていますが、31才以上、もしくは年齢制限無しのマイコンを実施したいという方がいらっしゃいましたらご連絡ください。開催のサポートをさせていただきます。

では、次回マイコンでまた会いましょう~!

 

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